受託蒸留に関する専門用語一覧

受託蒸留の現場では、さまざまな専門用語が使用されています。正確な用語理解は、製造プロセスの最適化や品質管理の向上に不可欠です。

そこで、本ページでは、特に重要な「共沸点破壊」と「膜蒸留」について、その基本的な仕組みと実務における活用シーンを解説します。高純度化や品質維持に関わる技術選定の参考としてぜひご参考ください。

共沸点破壊とは

共沸点破壊は、沸点が近接する成分で構成される共沸混合物を効率的に分離する技術です。添加剤の投入や圧力調整により共沸点を制御し、従来の蒸留工程では困難だった成分分離を実現します。

とりわけ、半導体材料や電子部品の製造工程において、微量金属や不純物の除去が求められる場合に有効で、製品の高純度化において重要な役割を果たしています。

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膜蒸留とは

膜蒸留は、高分子膜を用いて選択的に成分を分離する精製技術です。熱による分解や酸化を最小限に抑えられるため、シリコーン材料やフォトレジストなどの熱感受性の高い電子材料の精製に適しています。

また、化粧品原料や食品添加物など、品質維持が重要な成分の精製においても活用され、省エネルギー性能の高さから環境配慮型のプロセスとして評価されています。

膜蒸留について
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インライン冷却システムとは

インライン冷却システムは、装置内部の流路に冷却媒体を直接循環させることで熱を効率よく除去する冷却方式です。高い熱交換性能に加え、省スペース設計や制御性の高さ、維持管理のしやすさが特長です。近年はAI制御やナノ流体などの先端技術も活用されています。

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廃熱回収システムとは

廃熱回収システムは、製造現場やプラント設備から発生する排熱を再利用する仕組みです。熱交換器やORCなどの技術を活用し、燃料使用量やCO₂排出量を削減します。エネルギー効率の向上とコスト削減を同時に実現できます。

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コンデンサー効率

コンデンサー効率は、理論上の最大放散熱量に対する実際の放散熱量の割合を示し、η=(Tin−Tout)/(Tin−Tsat)×100%で算出します。冷却媒体温度や流量、凝縮圧力、熱交換面の汚れなどが効率に影響します。マイクロチャネル熱交換器やナノ流体、AI・IoT制御、可変流量システムを導入することで、運用コスト低減と環境負荷の軽減が期待できます。

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フィード条件最適化

フィード条件最適化とは、化学プロセスにおいて原料の温度・圧力・濃度・流量などを調整し、反応効率やエネルギー消費のバランスを最適化する技術です。収率向上やコスト削減、安全性の向上にもつながります。

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エネルギー回収

エネルギー回収とは、工場の排熱や排気ガスに含まれる未利用エネルギーを再利用する取り組みです。熱交換や発電などの技術により、省エネ・コスト削減・CO₂削減を実現します。具体例にはMVRシステムや廃熱発電があり、再生可能エネルギーとの併用で環境負荷の低減やレジリエンス向上も期待されています。

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蒸気圧曲線

液体が気体になる際に、発生する蒸気圧と温度の関係を示すグラフ。物質ごとに異なるこの曲線は、沸点や分離条件の予測、蒸留や真空乾燥などの工程設計に不可欠です。温度上昇により蒸気圧は指数的に増加し、クラウジウス–クラペイロン式やアントワン式を用いて解析・計算が行われ、化学・食品・医薬分野などで幅広く活用されています。

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サブクーリングプロセス

冷凍空調システムの効率を高める技術が、サブクーリングプロセスです。液冷媒を飽和温度以下に保ち、フラッシュガス防止や冷却安定化、省エネ効果が期待されています。

適切な範囲で設計すると、COP向上や電力削減に効果的です。ヒートエクスチェンジャーや電子膨張弁での制御、冷媒特性に応じた設計が必要で、空調や再生可能エネルギー利用にも応用されています。

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加熱媒体

装置に熱を伝える流体であり、プロセスの効率や安全性に直結します。蒸気は伝熱性が高いのですが、高温には加圧が必要です。熱油は高温域でも使用されることが多いのですが、可燃性が課題となっています。選定では温度域・安定性・TCOに加え、安全性や環境負荷を考慮し、日常管理も重要となります。

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フィード条件最適化

反応器や蒸留装置に供給する原料の温度・圧力・濃度・流量を調整し、収率向上とエネルギー削減を実現する手法。シミュレーションや機械学習を活用したリアルタイム制御が進んでおり、プロセス安定性とコスト効率の両立に貢献します。製薬・化学分野で幅広く導入される重要な最適化技術です。

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分配係数

溶質が水相と有機相のどちらにどの程度分配されるかを示す指標。抽出や分離プロセスの設計に不可欠であり、logP値は薬物の膜透過性や環境中での挙動評価にも利用されます。実験測定やシミュレーションにより求められ、製薬・食品・環境工学など幅広い分野で活用されています。

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液液平衡

混ざりにくい液体同士が相分離したとき、各成分がどの相にどの程度分配されるかを示す平衡状態。相図や熱力学モデル(NRTL・UNIQUACなど)で解析され、抽出・精製プロセスの設計に不可欠です。製薬・食品・環境分野で利用され、溶媒選定や分離効率改善に役立ちます。

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スラッジ分離

液体中に含まれる固形物や残渣を分離する操作。遠心分離や膜分離、凝集沈殿などの技術が用いられ、プロセス安定化や製品品質維持に直結します。受託蒸留での残渣処理や製薬・食品工場のスラッジ除去、環境工学での廃水処理などに広く応用されています。

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廃熱回収システム

工場や発電所の工程で発生する未利用の熱エネルギーを回収し、再利用する仕組み。熱交換器、排熱ボイラー、MVR、ORCなどの技術があり、省エネやCO₂削減に直結します。受託蒸留、製鉄・セメント、食品・製薬など多様な業界で導入が進んでいます。

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冷却・凝縮

蒸気を冷却して液体に戻す操作で、蒸留や精製工程の最終段階を担います。熱交換器、直接接触式、真空凝縮などの方式があり、分離効率・省エネルギー・安全性に直結します。化学・製薬・食品・環境工学の幅広い現場で活用されています。

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加熱媒体

外部からの熱を効率的に伝えるための媒体で、蒸気・温水・熱媒油・溶融塩などが代表例。対象プロセスに応じて選定され、安定加熱とエネルギー効率向上を実現します。受託蒸留や化学・製薬・食品工場で幅広く利用され、省エネや安全性確保に重要です。

加熱媒体について
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編集チームまとめ

受託蒸留における専門用語の理解は、製品特性に応じた適切な技術選定の基盤となります。共沸点破壊は不純物除去と高純度化に、膜蒸留は熱感受性の高い材料の精製に、それぞれ強みを発揮します。目的や要件に合わせて適切な技術を選択することで、製造効率の向上とコスト最適化を実現できるでしょう。

本メディアでは、受託蒸留の目的や特性から選べるおすすめの蒸留会社3選を紹介しています。各社が得意とする蒸留技術に加えて、蒸留ができる素材についても解説しているので、受託を検討している方はぜひチェックしてください。

【目的・特性別】受託蒸留を依頼できる
おすすめの3社をチェック

【目的・特性別】
受託蒸留会社3選

蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。

精密な温度管理
必要なら
中国精油
  • 熱分解しやすい機能性化学品も徹底した温度管理で蒸留精製できる薄膜蒸留設備が揃う
  • 半導体・電子材料分野の実績に加え、技術アドバイザーの知見で精製レベルの向上を図れる

中国精油が得意な蒸留精製

  • 熱に弱いフォトレジスト
  • 粘度のあるシリコーン
    など
使用済み溶剤を再生
するなら
新菱
  • 揮発性の高い溶剤や脱水が必要な有機溶剤を精密蒸留により再利用できる品質に精製可能
  • 使用済み溶剤を希望の純度に調整し、再利用することで廃棄コストと環境負荷の低減を両立

新菱が得意な蒸留精製

  • 揮発性の高い溶剤
  • 脱水が必要な有機溶剤
    など
脱酸・脱臭処理
必要なら
八代
  • 油脂の精製に特化。高真空環境での蒸留により、油脂の劣化を抑えながら精製できる
  • 脱臭・脱酸処理にも対応し、化粧品・食品向けの油脂の蒸留精製と品質向上にも貢献

八代が得意な蒸留精製

  • 酸化しやすい植物油脂
  • 脱臭処理が必要な油脂
    など
目的・特性別受託蒸留会社
3選