精密蒸留は、蒸留と凝縮を繰り返すことで、純度の高い成分抽出を可能にします。ここでは、精密蒸留の特徴や技術の原理、メリット・デメリットを解説。さらに、精密蒸留を扱う受託蒸留メーカーについてもご紹介します。
精密蒸留は、複数の成分から目的の成分を抽出する際に用いられる蒸留技術です。蒸留塔内で複数回にわたって蒸留を繰り返し、物質を分離・精製。純度の高い成分抽出を行えるのが特徴です。1回の蒸留で効率よく複数の成分を分離することができるため、化学、製薬、食品業界などで幅広い分野で利用されています。
精密蒸留は、多段の蒸留塔内で成分ごとの沸点差を活用し、複数回の蒸発と凝縮を繰り返すことで成分を細かく分離していく仕組みです。特に、沸点差が小さい物質は1回の蒸留(単蒸留)だけで成分を分離することは難しいですが、この仕組みを活用すれば沸点差が小さい複数の物質も1回の操作で効率よく分離することができます。
精密蒸留の最大のメリットは、高純度の成分を効率よく分離できる点です。特に、微量の不純物を除去する能力に強みがあるため、製薬や電子材料など高品質が求められる分野で活用されています。また、成分のロスが少なく、歩留まりが向上します。
精密蒸留は、成分の沸点差を利用して分離するため、揮発性が低い成分は効率的に抽出しにくい傾向があります。また、加熱が必要なため、熱に弱い成分は変質するリスクがある点も考慮が必要です。精密蒸留を依頼する際は、成分に応じてこれらに対応できるかの確認が必要でしょう。
蒸留には、薄膜蒸留、精密蒸留、水蒸気蒸留、分留など、さまざまな蒸留手法があります。蒸留の目的や対象の化学品や溶剤によって適切な蒸留方法が異なるため、自社工場に合ったパートナーを選ぶことが非常に大切。金属イオンや残留物を基準以下に蒸留精製できないと、製品の品質やコストにも関わるからです。
そこで、本メディアでは、蒸留の目的や特性に合わせて選べる受託蒸留会社を厳選し、3社比較を掲載しています。適切なパートナー選びの参考としてぜひご活用ください。
精密蒸留には高度な設備と精密な温度制御が必要で、導入コストが高くなります。また、緻密な温度管理が可能な装置と、適切な蒸留塔の設計が必要です。高純度の分離を行うためには精密なプロセス制御が求められ、運用コストが増加する可能性があります。設備投資と運用コストのバランスを考慮し、適切なシステムを選定することが重要です。
中国精油では高段数精密蒸留塔を用いて、電子材料原料や医農薬中間体など精密さが求められる蒸留を数多く扱っています。理論段数は最大80段に対応することが可能で、沸点の近い物質の蒸留にも対応することができます。
会社名 | 中国精油株式会社 |
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所在地 | 岡山県岡山市北区中山下2-1-77 |
電話番号 | 086-224-5771 |
公式URL | https://www.chusei-oil.com/ |
新菱では、化学製品の高純度化や、使用済み溶剤の蒸留精製、沸点が近い不純物の除去、製品の着色や臭気の除去など、精密蒸留によって幅広いニーズに応じられるのが強み。蒸留設備の数や内容も充実しています。
会社名 | 株式会社 新菱 |
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所在地 | 福岡県北九州市八幡西区黒崎3-9-22 RISO黒崎駅前ビル |
電話番号 | 093-643-2777 |
公式URL | https://www.shinryo-gr.com/ |
交洋ファインケミカルでは、蒸留塔での圧力損失の低減など熱による影響を抑えた工夫を行っており、熱に敏感な物質の精密蒸留を得意としています。また、融点100℃程度の高融点物質にも対応することが可能です。
会社名 | 交洋ファインケミカル株式会社 |
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所在地 | 京都府京都市南区吉祥院石原上川原町37 |
電話番号 | 075-681-0526 |
公式URL | https://www.koyo-fc.co.jp/ |
精密蒸留は、単蒸留では難しい成分の抽出に適しており、高純度の抽出が可能なのが大きなメリットです。一方で、揮発性の低い物質や熱に弱い物質では期待する品質が得られない場合もあります。そのため、精密蒸留を依頼する前に、希望する品質が得られるかどうかの確認が必要です。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製