インライン冷却システムとは?

ここでは、インライン冷却システムの概要と技術動向について解説します。

インライン冷却の概要とその利点

インライン冷却システムは、機器やプロセス装置の内部流路(インライン)に冷却媒体を直接循環させることで、発生した熱を効率的に除去する方式です。従来の外部冷却に比べて、以下のような利点があります。

熱交換効率の向上

流体が熱源と直接近接して伝熱するため、熱抵抗が小さく、短時間で温度を下げることが可能です。冷却効率が高まることで、連続稼働が求められる装置における熱暴走リスクを低減し、安定した動作を維持できます。

装置の小型化に寄与

機器内部や配管に冷却経路を組み込むことで、外付けの大型ヒートシンクやファンを省略でき、省スペースな設計が可能です。限られた設置スペースにも対応しやすく、装置レイアウトの自由度が向上します。

制御の精度向上

温度センサーと制御弁を組み合わせることで、流量や温度をリアルタイムに監視・調整し、冷却状態を安定して維持できます。精密機器や温度変動に敏感な工程においても、過冷却や過熱を避ける制御が可能です。

維持管理のしやすさ

閉ループ循環方式が一般的で、冷却媒体やフィルタの交換などを定期的に実施できます。構成がシンプルなため、トラブル発生時の原因特定や対応も迅速に行え、長期運用の負担を軽減します。

インライン冷却システムの基本的な仕組み

インライン冷却システムは、以下の主要な要素から成り立ちます。

ポンプ

冷却媒体を装置内部へ送り込む駆動装置であり、適切な流量と圧力を確保します。媒体の循環速度や圧力が変動すると冷却性能が低下するため、ポンプの安定動作が重要です。

熱交換部

冷却が必要な箇所(チップやモーターケースなど)に取り付けられ、冷却媒体が熱を吸収します。設置場所の材質や形状によって伝熱効率が変動するため、使用条件に合わせた設計が求められます。

センサー類

温度センサーや流量センサーを配置し、冷却性能を常時監視します。収集したデータは制御ユニットへ送信され、稼働状況の可視化や予知保全に役立ちます。

制御ユニット

各種センサーから得られた情報をもとに、バルブ開度やポンプ回転数を調整して冷却状態を維持します。AIを活用した制御により、運転条件の変化に対応した動的な調整が可能です。

冷却塔やチラー

吸収した熱を外部で放出し、冷却された媒体を再びシステム内に循環させます。冷却水方式や空冷方式など、運用条件に適した設備選定が重要です。

インライン冷却システムは閉ループ方式により内部の熱を効率的に外部へ排出します。周囲環境への影響を抑えながら、精度の高い温度制御を実現します。

インライン冷却システムの種類と技術

プレート式熱交換器の原理と実例

プレート式熱交換器は薄い金属板を多数重ね、板間に冷却媒体と被冷却媒体を交互に流す構造です。特徴は以下のとおりです。

大きな伝熱面積

プレートを多層化することで、限られたスペースでも効率的な熱伝達が可能です。

乱流による伝熱向上

プレート表面の凹凸加工が流体に乱流を発生させ、熱伝達率を高めます。

具体的な用途例

分解や洗浄が容易で、衛生管理やスケール除去などの保守作業にも適しています。

チューブ式冷却システムとの比較

チューブ式冷却はパイプ内部に冷却媒体を流す方式です。プレート式との比較は以下のとおりです。

項目 プレート式 チューブ式
伝熱性能 高い(多層・乱流効果) 中程度(層流〜遷移流域)
設置スペース 小型・薄型 長い配管が必要でスペースを要する
コスト やや高額 比較的低コスト
メンテナンス性 分解洗浄が容易 専用設備によるパイプ内洗浄が必要
圧力損失 中〜高 低〜中

冷却方式の選定では、性能に加えてコストや保守性も含めた総合的な判断が求められます。

高効率化を目指した技術の動向

インライン冷却の性能向上に向けて、近年では以下の技術が導入されています。

マイクロチャネル冷却やナノ流体、相変化冷却、AI制御、3Dプリンティングといった技術を組み合わせることで、出力向上や小型化に対応しながら、安定した冷却性能を得られます。

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  • 使用済み溶剤を希望の純度に調整し、再利用することで廃棄コストと環境負荷の低減を両立

新菱が得意な蒸留精製

  • 揮発性の高い溶剤
  • 脱水が必要な有機溶剤
    など
脱酸・脱臭処理
必要なら
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  • 油脂の精製に特化。高真空環境での蒸留により、油脂の劣化を抑えながら精製できる
  • 脱臭・脱酸処理にも対応し、化粧品・食品向けの油脂の蒸留精製と品質向上にも貢献

八代が得意な蒸留精製

  • 酸化しやすい植物油脂
  • 脱臭処理が必要な油脂
    など
目的・特性別受託蒸留会社
3選