薄膜蒸留

目次

薄膜蒸留は、熱に弱い物質や粘性の物質などの分離に適した蒸留技術です。ここでは、薄膜蒸留の特徴や原理、メリット・デメリットなどを解説。さらに、薄膜蒸留を扱う受託蒸留メーカーについてもご紹介します。

薄膜蒸留の特徴と用途

熱に不安定な原料の
蒸留に適した特殊技術

薄膜蒸留は、熱に敏感な高沸点物質の分離に適した蒸留技術です。加熱面上に原料を薄膜状に広げ、短時間に気化・凝縮させることで、熱劣化を最小限に抑えつつ効率的な分離を実現します。従来の技術では困難だった高沸点物質や、熱に不安定な物質の分離が可能で、粘性の高い物質や高分子量製品にも有効な蒸留技術です。

薄膜蒸留の原理

蒸留したい原料を薄膜形成して
熱伝導を高める

高真空下で加熱されたチューブやシリンダーの内壁表面に原料を薄膜状に広げることで、迅速かつ均一な熱伝導を実現し、原料を素早く気化させます。気圧が低くなるほど沸点が下がるため、低温かつ短時間に蒸留が行える仕組みです。これにより、熱による物質への影響を抑えながら、効果的に分離を行うことができます。

薄膜蒸留のメリットとデメリット

一般的な蒸留では分離が
難しい物質に対応ができる

薄膜蒸留の主なメリットは、材料が高温にさらされる時間が短く、熱劣化を最小限に抑えられる点です。また、効率的な熱伝導により処理速度が上がるため、連続しての大量処理が可能になります。他にも、一般的な蒸留技術では対応困難な高粘性物質や高分子量物質に特に効果的なのもメリットです。

薄膜蒸留の装置導入に
コストがかかる

一方、薄膜蒸留のデメリットは、特殊な装置が必要であり、初期投資が高額になることが挙げられます。また、沸点が非常に近い成分の分離には限界があり、他の蒸留技術に比べて分離効率が低下する場合もあります。一般的な装置よりも準備に時間を要しやすいのも、デメリットと言えるでしょう。

薄膜蒸留導入時の注意点

薄膜蒸留を行うための技術や
ノウハウが必要

薄膜蒸留を導入する際は、初期投資として特殊な装置の購入や設置が必要であり、コストが高額になることを考慮する必要があります。さらに、装置の運用には専門的な知識が求められ、操作やメンテナンスに関するトレーニングが必要です。また、処理する物質の特性や処理量に応じて、適切な装置の選定や設備要件を検討することも重要です。

薄膜蒸留の受託蒸留を行っている
企業リスト

【PR】中国精油

中国精油は、蒸留・薄膜蒸留を中心に、お客様の課題に合わせて最適な精製方法を提案する「化学ソリューションパートナー」です。創業から長年にわたり、プラスチック原料や各種溶剤といった石油化学分野はもちろん、近年ではシリコーン材料まで対象を広げ、幅広いニーズに応えてきました。省力化・効率化・環境負荷低減を見据えた受託製造体制で、試作段階から量産まで一貫してサポートできるのが強みです。

中国精油公式HPキャプチャ
画像引用元:中国精油公式HP(https://www.chusei-oil.com/service/)

中国精油が対応できる
薄膜蒸留の特徴

中国精油の水島工場では、流下膜式・遠心式の2種類の薄膜蒸留装置を保有しており、対象となる化合物の反応性や沸点、要求品質に応じて最適な装置を使い分けています。高真空下で蒸発面に原料を薄膜状に広げることで、数秒〜数分という短い滞留時間で加熱・蒸留が完了。分解・重合・着色のリスクが高い原料でも、熱履歴を抑えながら高純度品を得ることが可能です。

また、水島工場では薄膜蒸留だけでなく、理論段数80段/50段クラスの精密蒸留塔も併設しているため、「通常蒸留で粗分離 → 薄膜蒸留で仕上げ精製」といった工程設計にも対応できます。沸点差が小さい不純物の分離から、最終的な低メタル化・低残留モノマー化まで一貫して任せられる点も、大きな魅力と言えるでしょう。

対応可能な原料・溶剤の例

薄膜蒸留では、反応性が高く熱に弱いモノマーや、シリコーンオイルのような高粘度原料の精製実績が豊富です。特に以下のような化合物の受託蒸留に多く携わっています。

  • アクリレート・メタクリレート系モノマー
  • イソシアネート、ビニル系化合物、液状エポキシ樹脂
  • ジメチルシリコーン、フェニル変性シリコーン
  • エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン
  • ビニル基含有シリコーン、その他機能性シリコーンオイル

重合禁止剤を併用しながらの蒸留運転にも対応しており、複数種類の重合禁止剤を組み合わせた運転実績や、精製後に重合禁止剤を再添加する運転実績も多数あります。反応性モノマーの取り扱いに慣れていない企業にとっても、安心して相談できる体制です。

実績のある用途・分野

薄膜蒸留による低不純物化・低メタル化・低環状シロキサン化などの技術は、以下のような分野で活用されています。

  • 半導体前工程向け材料の低メタル化・超高純度化
  • 電子材料・光学材料向けモノマー/オリゴマーの精製
  • シリコーンオイル中の低分子環状シロキサン(D3〜D20)の低減
  • 熱重合・熱分解しやすい高機能樹脂原料の精製

特にシリコーンオイルに関しては、低分子環状シロキサンの再生成を抑えながら低濃度レベルまで減少させる温度管理ノウハウを蓄積しており、長期安定性が求められる用途からの相談も増えています。

薄膜蒸留装置のスペック詳細

水島工場では、性能の異なる薄膜蒸留装置を5基運用しており、試作スケールから量産スケールまで柔軟に対応できます。代表的な仕様は以下の通りです。

装置No. 蒸発面積 到達真空度 加熱温度上限 材質 コンデンサー形式 特記事項
No.1 1.5 m² ~20 Pa ~260℃ SUS304 内部コンデンサー 量産対応の主力ライン
No.2 0.8 m² ~20 Pa ~260℃ SUS304 内部コンデンサー 中規模〜量産対応
No.3 0.1 m² ~0.01 Pa ~350℃ 硬質ガラス 内部コンデンサー 高沸点物質・評価試験に最適
No.4 0.1 m² ~0.01 Pa ~280℃ 硬質ガラス 内部コンデンサー 腐食性物質にも対応可能
No.5 0.1 m² ~5 Pa ~260℃ SUS304 内部コンデンサー 試作・条件出し用に活用

これらの装置に加えて、ISO 9001・ISO 14001認証を取得した品質・環境マネジメントシステムのもとで運転が行われており、半導体グレード材料のような高い信頼性が求められる案件にも対応できる体制が整っています。

中国精油の会社概要

会社名 中国精油株式会社
所在地 岡山県岡山市北区中山下2-1-77
電話番号 086-224-5771
公式URL https://www.chusei-oil.com/

八代

八代公式HPキャプチャ
画像引用元:八代公式HP(https://www.yashiro.co.jp/fd_md/)

八代が対応できる
薄膜蒸留の特徴

八代では、液体をワイパーで薄膜上に広げるワイプタイプ(FD)と、遠心力で薄膜を形成する遠心タイプ(MD)、2タイプの薄膜蒸留装置を保有。薄膜蒸留装置を使った簡易テストも実施しており、事前に精度を確かめることができます。

八代が対応できる
薄膜蒸留のスペック

※上記は流下膜式薄膜蒸留装置(ワイプタイプ)のスペックです

八代の会社概要

会社名 株式会社八代
所在地 大阪府大阪市平野区加美南5-5-17
電話番号 06-6531-9769
公式URL https://www.yashiro.co.jp/

東洋合成工業

東洋合成工業公式HPキャプチャ
画像引用元:東洋合成工業公式HP(https://www.toyogosei.co.jp/business/green-chemical/consigment.html)

東洋合成工業が対応できる
薄膜蒸留の特徴

1954年の創業以来、長年にわたり培ってきた技術で幅広い蒸留ニーズに応じる東洋合成工業。2003年に流下膜式薄膜蒸発機を導入し、顧客からの要望も多い高沸点物質や感熱性香料の蒸留にも対応できる体制を整えています。

東洋合成工業が対応できる
薄膜蒸留のスペック

東洋合成工業の会社概要

会社名 東洋合成工業株式会社
所在地 東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル8F
電話番号 03-5822-6170
公式URL https://www.toyogosei.co.jp/

編集チームまとめ

薄膜蒸留は熱に弱い物質の
分離に適した技術

薄膜蒸留は、その技術の特性から低温かつ短時間で蒸留を行うことができるため、熱に弱い物質や高沸点物質、粘性の高い物質、高分子量物質の蒸留に適しています。一方で、沸点が非常に近い物質の分離には限界があるため、依頼の際は、対象の原料が薄膜蒸留に適しているかどうかの確認が必要でしょう。

【目的・特性別】
受託蒸留会社3選

蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。

精密な温度管理
必要なら
中国精油
  • 熱分解しやすい機能性化学品も徹底した温度管理で蒸留精製できる薄膜蒸留設備が揃う
  • 低分子シロキサン除去など半導体・電子材料分野の実績に加え、技術アドバイザーの知見で精製レベルの向上を図れる

中国精油が得意な蒸留精製

  • 熱に弱いフォトレジスト
  • 粘度のあるシリコーン
    など
使用済み溶剤を再生
するなら
新菱
  • 揮発性の高い溶剤や脱水が必要な有機溶剤を精密蒸留により再利用できる品質に精製可能
  • 使用済み溶剤を希望の純度に調整し、再利用を促進することで廃棄コストと環境負荷の低減を両立

新菱が得意な蒸留精製

  • 揮発性の高い溶剤
  • 脱水が必要な有機溶剤
    など
脱酸・脱臭処理
必要なら
八代
  • 植物油脂の精製に特化。高真空環境での蒸留により、熱による油脂の劣化を抑えながら精製できる
  • 脱臭・脱酸処理にも対応し、化粧品・食品向けの油脂の蒸留精製と製品の品質向上にも貢献

八代が得意な蒸留精製

  • 酸化しやすい植物油脂
  • 脱臭処理が必要な油脂
    など
目的・特性別受託蒸留会社
3選