減圧蒸留は、常圧では分離が困難な物質にも対応できる蒸留技術です。ここでは、減圧蒸留の特徴や原理、メリット・デメリットなどを解説。さらに、減圧蒸留を扱う受託蒸留メーカーもご紹介します。
減圧蒸留は、圧力を低下させることで液体の沸点を下げ、低温での蒸留を可能にする蒸留技術です。熱に弱い物質や分解しやすい成分の分離に適しており、化学、製薬、食品業界など幅広い分野で利用されています。通常の蒸留よりもエネルギー消費を抑えながら、高純度な成分を抽出できる点が特徴です。
水の沸点は100℃ですが、気圧の低い高所では100℃に達する前にお湯を沸かすことができます。これは、減圧により物質の沸点が変化するためで、この原理を利用したのが減圧蒸留です。実際には、容器内の圧力を大気圧よりも低く設定することで、液体の沸点を通常よりも低温に下げ、熱分解を防ぎながら蒸留を行います。
減圧蒸留の最大のメリットは、熱に弱い物質を低温で蒸留できる点です。これにより、成分の分解や変質を防ぎながら、高純度の成分を抽出することができます。また、エネルギー消費を抑えられるため、コスト効率に優れている点が挙げられます。
減圧蒸留は、沸点差が大きい物質の分離には効果的ですが、沸点が近い物質や高沸点の物質には向かない場合があります。特に、分子量が大きい物質や複雑な混合物に対しては、効率的な分離が難しいこともあります。ただし、設備によっては対応できる場合もあるため、事前の確認が重要です。
蒸留には、薄膜蒸留、精密蒸留、水蒸気蒸留、分留など、さまざまな蒸留手法があります。蒸留の目的や対象の化学品や溶剤によって適切な蒸留方法が異なるため、自社工場に合ったパートナーを選ぶことが非常に大切。金属イオンや残留物を基準以下に蒸留精製できないと、製品の品質やコストにも関わるからです。
そこで、本メディアでは、蒸留の目的や特性に合わせて選べる受託蒸留会社を厳選し、3社比較を掲載しています。適切なパートナー選びの参考としてぜひご活用ください。
減圧蒸留を導入する際は、真空ポンプや密閉性の高い蒸留装置の導入が不可欠であり、設備投資が大きくなります。また、装置の設置や運用には専門的な知識が必要で、適切なメンテナンスを行わないと性能が低下する恐れがあるため注意が必要です。特に工業用途で導入する際は、高度な監視・制御システムが必要となるでしょう。
中国精油が保有する薄膜蒸留装置は、減圧下での蒸留が行えるため、減圧蒸留にも対応することが可能です。特に、高反応物質や腐食性物質、熱変質性物質といった液体物の蒸留を得意としています。
会社名 | 中国精油株式会社 |
---|---|
所在地 | 岡山県岡山市北区中山下2-1-77 |
電話番号 | 086-224-5771 |
公式URL | https://www.chusei-oil.com/ |
ヨーユーラボでは、理論段数10段の真空蒸留機を保有しており、減圧蒸留に対応することが可能です。原料の受け入れから製品の受け渡しまで、様々な機器を用いた分析を行い、安定した生産体制を確立しています。
会社名 | 株式会社ヨーユーラボ |
---|---|
所在地 | 群馬県太田市新田反町町108-1 |
電話番号 | 0276-20-8033 |
公式URL | https://www.yoyulabo.co.jp/ |
ネオケミカルの減圧蒸留は、蒸留が困難な高沸点物や高融点物、沸点の近い異性体などに幅広く対応。さらに、不純物規格1ppm以下の保証や、金属規格10ppb以下を保証する金属カット蒸留など厳格な品質規格設定も見逃せません。
会社名 | ネオケミカル株式会社 |
---|---|
所在地 | 大阪府大阪市中央区平野町3-4-2NCビル |
電話番号 | 06-6232-0341 |
公式URL | https://www.neo-chem.com/ |
減圧蒸留は、減圧下で低温蒸留を行うことで、熱に弱い物質にも対応できるのが強みです。熱の影響による成分の分解や劣化を抑えられるため、高純度の抽出が可能になります。特に、熱に弱い医薬品の原料や化学品などを高純度に精製したい場合に適した技術と言えるでしょう。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製