シリコーンはその特性上、高精度な蒸留技術を必要とします。このページでは、シリコーンの受託蒸留を検討している企業向けに、シリコーンに適した蒸留技術や受託会社の選定ポイントなどをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
シリコーンとは、ケイ素と酸素がシロキサン結合した骨格に有機物が結びついてできたポリマーです。耐熱性や耐寒性に優れており、-100℃~250℃の環境下でも変化しないと言われています。この他にも、高い絶縁性や撥水性、非粘着性、低毒性など様々な特性を有しており、その多機能さから幅広い分野で活用されている素材の一つです。
近年では、高価なシリコーン原料を廃棄せず、蒸留精製して再利用することの価値が高まっています。使用済みのシリコーンを精製して新品同様の品質に蘇らせることは、大幅なコスト削減に直結するだけでなく、資源循環を促進する環境対策(SDGs)としても極めて重要な戦略となります。
シリコーンは多機能な素材であることから用途も多様です。シリコーンゴムやシリコーン樹脂、シリコーンオイルなどに加工された後、半導体の保護剤、化粧品の成分、潤滑剤、離型剤、電気絶縁材料、調理器具など、さまざまな製品に活用されています。
しかし、製造プロセスや使用過程において、加熱による熱劣化や不純物の混入、水分吸収などが起こると、本来の性能を発揮できなくなります。特に、純度が求められる電子部品や医薬品分野では、製品不良を防ぐために高精度な蒸留技術による不純物除去が欠かせません。「廃油として捨てるには惜しいが、不純物が原因で再利用できない」という課題を解決するのが受託蒸留の役割です。
シリコーンの蒸留には、高い分離精度と熱安定性を備えた技術が不可欠です。シリコーン、特にシリコンオイルは高粘度であり、かつ高温にさらし続けると熱変性を起こしたり、低分子環状シロキサンが再生成したりするという特有の課題があります。
これらの課題を解決するためには、高真空下で沸点を下げ、短時間で処理を終える薄膜蒸留などの高度な制御が求められます。用途に応じた適切な蒸留技術の選定が、熱変性を防ぎつつ高純度なシリコーンを回収するための鍵となります。
| 高真空蒸留 | 高分子シリコーンの熱分解を防ぎつつ、高純度精製 |
|---|---|
| 分留技術 | 異なる分子量のシリコーンを精密に分離 |
| 膜蒸留 | ナノレベルの不純物を除去し、純度を向上 |
| 蒸気ストリッピング | 揮発性成分を効率的に分離し、シリコーンの純度を確保 |
| 減圧蒸留 | 低温で処理し、熱に弱い成分を保持しながら精製 |
製品ごとに、蒸留対象となる材料はさまざま。化学品や溶剤の性質によっては、熱分解してしまったり、基準よりも高い残留物が検出されたりすることがあります。だからこそ、材料の特性に合わせて蒸留方法や受託会社を選ぶことが、純度や精度を高めるために必要です。
本メディアでは、蒸留の目的と材料の特性ごとに受託蒸留会社を厳選。蒸留対象ごとに、適切な受託会社選びの参考にしてください。
シリコーンの受託蒸留を活用する最大のメリットは、「資源の有効活用」による経済性です。従来、劣化や不純物混入によって廃棄していたシリコーンオイルを蒸留によって蘇らせることで、高価な新品購入費用を抑えることが可能です。
また、産業廃棄物としての排出量を抑制できるため、廃棄コストの圧縮とSDGs(資源循環)への貢献を同時に達成できます。コストカットと環境経営の両立を目指す企業にとって、受託蒸留は非常に有効なソリューションとなります。
シリコーンの受託蒸留を成功させるためには、一般的な有機溶剤の蒸留とは異なる専門的な視点で委託先を選ぶ必要があります。ここでは、検討時に必ず確認すべき4つの重要なポイントを解説します。
シリコーンは分子量によって粘度が大きく異なり、高分子のものや室温で固体の高融点タイプも存在します。これらをスムーズに蒸留・移送するためには、設備全体の加熱・保温構造(ジャケット配管など)や、高真空を維持できる強力な排気システムが不可欠です。
流動性が極めて低い素材であっても、熱変性を防ぎながら安全にハンドリングできる高粘度対応の設備とノウハウを保有しているかを確認しましょう。
高価なシリコーン原料を再利用する最大の目的はコスト削減です。そのため、求められる純度を満たした上で、どれだけ高い回収率(歩留まり)を実現できるかが委託先の技術力の見せ所となります。
過剰に純度を追い求めて回収量が減ってしまっては本末転倒です。ターゲットとする成分の分離精度と経済的な回収率のバランスを見極め、最適な蒸留条件を提案してくれる会社が理想的です。
シリコーンオイル自体や、その精製プロセスで使用・混入する溶剤、あるいは分離された不純物(低分子シロキサンなど)は、消防法上の危険物(第4類引火性液体など)に該当するケースが少なくありません。
委託先が適切な危険物製造所の許可を得ているか、指定数量の制限をクリアしているかなど、法令遵守(コンプライアンス)と徹底した安全管理体制が整っていることは大前提となります。
シリコーンの蒸留精製は、実験室レベル(ラボ試作)で成功しても、実際の大型プラント(量産)では熱履歴や攪拌(かくはん)効率の違いから同じ結果が出ないことがあります。
そのため、数kg程度の少量試作から始まり、数百kgの中間検証、そして数トン規模の量産へと段階的にスケールアップできる設備環境があるかどうかが、実生産へスムーズに移行するための重要な鍵となります。

中国精油は、創業から80年以上の歴史を持つ老舗の化学ソリューションパートナーです。長年培ってきた石油由来のプラスチック材料や溶剤の精製ノウハウをベースに、近年では高度な技術が求められるシリコーン材の受託蒸留・精製へと柔軟に技術を応用し、幅広いニーズに対応しています。
同社は、「流下膜式」と「遠心式」という2通りの薄膜蒸留装置を保有しており、素材の特性や顧客の要求スペックに合わせて最適な設備を使い分ける対応力が特徴です。薄膜蒸留装置の伝熱面における滞留時間はわずか数秒〜数分と極めて短いため、従来のバッチ式蒸留装置に比べて熱履歴を大幅に抑制できます。これにより、熱に弱いシリコーンの熱変性を防ぎつつ、高効率な精製を可能にしています。
特に、シリコーンオイルに含まれる低分子環状シロキサンの除去技術に優れており、D3〜D20までのシロキサンを精密に定量分析できる体制を確立しています。低分子環状シロキサンは「高温で加熱し続けると再生成する」という非常に厄介な性質がありますが、同社の高精度な温度管理技術(高真空下で沸点を下げる制御など)により、再生成を抑えた安定的な除去・低減に成功しています。
対応実績も豊富で、ジメチルシリコーンだけでなく、フェニル変性、エポキシ変性、カルビノール変性、ビニル基含有シリコーンなど、多種多様な変性シリコーンオイルの精製に対応可能です。さらに、半導体向け材料の精製で培った「数十pptレベルの低メタル化技術」やICP-MSを用いた高度な分析技術も保有しており、電子部品分野などの厳しい純度要求にも応えられる確かな技術力を持った企業です。
| 所在地 | 岡山県岡山市北区中山下2-1-77 |
|---|---|
| 電話番号 | 086-224-5771 |
| 公式URL | https://www.chusei-oil.com/ |

交洋ファインケミカルは、シリコーンの遠心式薄膜蒸留に対応しています。詳細は各社にお問い合わせください。
| 所在地 | 京都府京都市南区吉祥院石原上川原町37 |
|---|---|
| 電話番号 | 075-681-0526 |
| 公式URL | https://www.koyo-fc.co.jp/ |
シリコーンを蒸留する際は、高い分離精度と熱安定性が求められるため、高真空蒸留や分留、薄膜蒸留などの高度な技術を持つパートナー選びが不可欠です。まずは、自社のシリコーン廃油がどこまで再生可能か、「少量からの試作検討」を通じて品質と回収率(歩留まり)を確認することをお勧めします。コスト削減と環境対策の第一歩として、まずは専門メーカーへ相談してみましょう。
蒸留すべき材料だけでなく、製薬・半導体・化学・電子部品といった業種から、自社に合った受託蒸留会社を探すのもひとつの方法です。
以下のページでは、業種ごとに適切な蒸留方法の解説や受託サービスを活用するメリットなどを解説しています。ぜひチェックしてください。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製