オスマー型平衡蒸留(Othmer Still)は、沸騰・凝縮操作を小規模ループ内で繰り返し、蒸気と液体を平衡状態に到達させてからサンプリングする実験用蒸留技術です。本ページでは、オスマー型平衡蒸留の特徴や原理、メリット・デメリット、導入時の注意点などを詳しく解説します。
オスマー型平衡蒸留は、わずか数十ミリリットルの試料から蒸気–液平衡(VLE)データを短時間で得られるのが特徴です。沸騰フラスコ、U字型可視セル、空冷コンデンサー、ならびにリターン管で構成されたクローズドループ内で液体を循環させ、蒸気相と液相が十分に混合・接触した後に採取するため、化学プロセス設計に必須の平衡組成を精度高く測定できます。
用途は、化学プロセスシミュレーション用の相平衡データ収集、二元・三元系混合溶剤の分離性評価、さらには新規溶媒ペアのスクリーニングなど研究開発寄りの領域が中心です。近年では、バイオマス溶媒系やイオン液体系の基礎データ取りにも利用されています。
装置下部で加熱された液体は気化し、上部のガラスU字管に達した後、空冷または水冷コンデンサーで凝縮して液相として戻ります。この循環を連続的に行うことで、蒸気組成と液組成が理論上の平衡に到達します。一定時間(通常30–90分)の運転後、U字管の蒸気相ポートと液相ポートから同時採取し、それぞれの組成をガスクロマトグラフィーや密度計で解析することでVLEデータを取得します。
オスマー型ではリフラックス比が自動的に無限大に近づくため、カールソン型やセトリング型のような外部還流制御が不要で、平衡到達判定が比較的直感的なのも利点です。
試料量が少なく、加熱入力も小さいため、実験コストを抑えつつ高信頼な平衡データが得られます。視認性の高いガラスセルにより、気液界面の泡立ちや不均一相の発生を容易に観察できる点も研究用途では大きなメリットです。
標準的なガラス製Othmer装置は大気圧近傍限定であり、高圧系・高沸点系には不向きです。また、三元以上の多成分系では、蒸気・液相の定義が複雑化し、サンプリング精度や分析手法が課題となります。
蒸留には、薄膜蒸留、精密蒸留、水蒸気蒸留、分留など、さまざまな蒸留手法があります。蒸留の目的や対象の化学品や溶剤によって適切な蒸留方法が異なるため、自社工場に合ったパートナーを選ぶことが非常に大切。金属イオンや残留物を基準以下に蒸留精製できないと、製品の品質やコストにも関わるからです。
そこで、本メディアでは、蒸留の目的や特性に合わせて選べる受託蒸留会社を厳選し、3社比較を掲載しています。適切なパートナー選びの参考としてぜひご活用ください。
精度良いデータ取得には、加熱マントル・恒温油槽・撹拌機を組み合わせ、上下温度差を1 K以内に抑えることが推奨されます。採取ラインは短くし、採取直後に気密キャップを装着して大気曝露を防ぐことで、揮発成分の損失や酸化を回避できます。
さらに、蒸気・液相の到達平衡を検証するための時間プロファイル測定を少なくとも2点取り、組成安定が確認されるまで運転を継続するSOPを確立しておくと再現性が向上します。
当サイト内に「オスマー型平衡蒸留」への対応を明記している受託蒸留メーカーは確認できませんでした。
オスマー型平衡蒸留は、研究段階でのVLEデータ取得や新規溶媒開発における高効率・低コストな手法として位置付けられています。プロセスシミュレーションの入力精度を高める上でも有用ですが、圧力・温度レンジや多成分解析の制約を理解し、必要に応じてセトリング型や静止型セルなどと使い分けることが重要です。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製