これまで廃棄されていた熱や電力といったエネルギーを再利用し、省エネルギー化やコスト削減を図る取り組みのことです。たとえば、工場内の排熱や排気ガスに含まれる熱エネルギーを再利用することにより、燃料や電力の使用量を抑えられます。
こうした取り組みは単なる経済的効果にとどまらず、CO₂排出量の削減や環境負荷の低減にもつながるのです。日本政府が掲げるカーボンニュートラルの達成に向け、経済産業省や環境省もエネルギー回収に関する補助制度を設けており、企業の導入を後押ししています。
基本的な仕組みは、熱や運動といった未利用エネルギーを熱交換や発電などの形で回収し、他の工程に再利用することです。熱交換器を使用して高温の排水から熱を取り出し、ボイラーの給水を予熱するといった方法が一般的。
また、ヒートポンプを活用することにより、低温の廃熱を高温へと汲み上げて再利用が可能です。他にも、排熱で発電を行うランキンサイクルや、有機ランキンサイクル(ORC)などの発電技術も広がっています。
蒸留や濃縮工程では多くの熱エネルギーが消費されており、これを効率的に回収・再利用する技術が広がりを見せています。代表的な手法の一つが、自己蒸気機械圧縮(MVR:Mechanical Vapor Recompression)システムです。
自己蒸気機械圧縮(MVR)システムは、蒸留や濃縮の過程で発生する廃蒸気を回収し、再び加熱源として利用する仕組みです。この技術の特徴は、「圧力と沸点の関係」を巧みに利用している点にあります。
具体的な導入例として、エタノールの蒸留プラントにおける活用が挙げられます。精留塔で生成されたエタノール留分(およそ78℃)には多くの熱エネルギーが含まれています。
この熱は従来、冷却塔を使って排出されていました。しかし、MVRシステムを導入することで、熱交換器を介してその潜熱を低温の蒸気(約75℃)として回収し、再圧縮して高温蒸気へと変換。これを再びプロセス加熱に利用することで、ボイラーからの蒸気供給量を大幅に削減しています。
排気ガスには、燃焼によって生じた高温の熱エネルギーが含まれており、これを活用する方法が熱回収ボイラー(排熱ボイラー)です。たとえば、セメント工場や製鉄所では、排気ガスから蒸気を発生させ、蒸気タービンで発電を行う廃熱発電が導入されています。
国内の事例としては、廃棄物焼却施設におけるごみ発電や、製鉄所における高炉ガスを利用した発電システムなどです。これらの技術により、発電した電力を自家消費するだけでなく、地域への電力供給も実現しているケースもあります。
近年では、再生可能エネルギーとエネルギー回収を組み合わせたハイブリッド型の技術も注目されています。たとえば、太陽熱を利用して温水を作りながら、工場の排熱を活用してさらなる加熱を行うといったシステムです。
他にも、地中熱や下水熱を活用した地域冷暖房、再生可能エネルギー電力によるヒートポンプの活用、太陽光・太陽熱ハイブリッドパネルの導入など、多様な技術が開発・導入されています。
これらの取り組みにより、ピーク電力の平準化やレジリエンスの向上といった付加価値も得られるため、今後の省エネ戦略の有力な選択肢として注目されています。
蒸留には、薄膜蒸留、精密蒸留、水蒸気蒸留、分留など、さまざまな蒸留手法があります。蒸留の目的や対象の化学品や溶剤によって適切な蒸留方法が異なるため、自社工場に合ったパートナーを選ぶことが非常に大切。金属イオンや残留物を基準以下に蒸留精製できないと、製品の品質やコストにも関わるからです。
そこで、本メディアでは、蒸留の目的や特性に合わせて選べる受託蒸留会社を厳選し、3社比較を掲載しています。適切なパートナー選びの参考としてぜひご活用ください。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製