沸点が極めて近い成分や共沸混合物は、通常の蒸留操作だけでは分離が困難です。抽出蒸留は、こうした難分離系に第3成分(溶剤)を加え、成分間の揮発度差を広げて分離を可能にする技術です。
抽出蒸留では、分離対象の混合物に「抽出溶剤」と呼ばれる第3成分を蒸留塔内へ添加します。添加した溶剤が特定成分と強く相互作用し、相対揮発度を大きくすることで分離を容易にする技術です。
近沸点混合物や共沸混合物でも、適切な溶剤を選べば目的成分を高純度に取り出せます。温度に敏感な成分を穏やかな条件で処理できる点も利点の一つです。
抽出蒸留と混同されやすい手法に共沸蒸留があります。どちらも第3成分を加えて分離性を高めますが、第3成分の揮発性や回収位置が異なります。
| 比較項目 | 抽出蒸留 | 共沸蒸留 |
|---|---|---|
| 第3成分の揮発性 | 低揮発性(高沸点) | 高揮発性(低沸点) |
| 第3成分の回収位置 | 塔底から回収 | 塔頂から留出 |
| 主な適用対象 | 近沸点混合物・共沸混合物 | 共沸混合物 |
※なお、抽出蒸留で添加する第3成分を「抽出溶剤」と呼ぶのに対し、共沸蒸留で添加する高揮発性の第3成分は一般に「エントレーナー」と呼ばれます。
抽出蒸留は溶剤を塔底から回収できるため、循環効率に優れている点が特徴です。
抽出蒸留は、通常の設備では段数がいくらあっても分離できないケースで有効な手法です。相対揮発度が1に近い系や共沸点を形成する系が主な対象になります。
代表的な適用場面は以下のとおりです。
抽出蒸留を実施するには、成分を分離する「抽出蒸留塔」と使用した溶剤を回収する「溶剤回収塔」が不可欠です。最低2基の蒸留塔が必要になるため、自社で設備を新設するコスト負担は大きくなります。
蒸留塔本体に加え付帯設備や設置スペースの確保も必要です。計画段階から投資判断のハードルが高く、限られた予算での導入は容易ではありません。
抽出溶剤は目的成分との親和性や沸点差を踏まえた慎重な選定が求められます。気液平衡の複雑なシミュレーションも欠かせず、運転条件の最適化には高度な専門知識が必要です。
専門的なノウハウを持つ受託蒸留メーカーへ委託することで、開発期間の短縮と品質安定化が図れるため、自社リソースだけでは対応しきれない場合の有力な選択肢になります。
抽出蒸留は、近沸点混合物や共沸混合物を高純度に分離するうえで欠かせない技術です。2塔構成の設備投資や溶剤選定の専門知識など、自社導入のハードルは低くありません。
自社設備での分離に行き詰まっている場合や、新たな精製プロセスの立ち上げを検討する際は、受託蒸留企業への相談が有効です。GCやHPLCなど豊富な分析機器と専用設備を備えた受託先を活用すれば、開発効率と製品品質の両立が見込めます。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製