接着剤メーカーでは、製品の性能や安定性を左右する要素として、使用する溶剤の品質が重要視されています。 溶剤は樹脂の溶解や粘度調整、塗布性の制御などに関わっており、わずかな不純物の混入でも接着強度や硬化性に影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、接着剤メーカーにおいて溶剤蒸留が必要とされる背景や、適した蒸留技術、外注による受託蒸留サービスの活用ポイントについて解説します。
接着剤の製造では、溶剤の純度や組成が製品の物性に直結します。 水分や副生成物、微量不純物が増加すると、塗布ムラや硬化不良、接着力の低下といった品質トラブルにつながることがあります。
また、設備洗浄や製造工程内で使用される溶剤は繰り返し使用されることが多く、使用回数が増えるにつれて樹脂分や添加剤が蓄積しやすくなります。 その結果、新液同等の性能を維持することが難しくなり、廃棄や交換の頻度が増える点も課題の一つです。
こうした課題に対し、溶剤蒸留によって不純物を除去し、再利用可能な品質へ整えることが、品質安定とコスト管理の両面で重要な役割を果たします。
接着剤メーカー向けの溶剤蒸留では、単に溶剤を回収するだけでなく、 用途に適した純度や組成を安定して維持できるかが重視されます。
熱に弱い樹脂や反応性の高い成分を含む場合には、加熱条件を抑えた減圧蒸留や高真空条件での蒸留が有効とされます。 一方、複数成分が混在する溶剤では、分留によって目的成分を選択的に回収する方法が検討されます。
接着剤の種類や製造条件によって最適な蒸留方法は異なるため、製品特性を踏まえた技術選定が求められます。
| 蒸留技術 | 適用場面 | 活用例 |
|---|---|---|
| 減圧蒸留 | 熱に弱い樹脂を含む溶剤 | 樹脂劣化を抑えた溶剤の再生 |
| 高真空蒸留 | 高純度が求められる用途 | 接着性能を安定させるための不純物除去 |
| 分留技術 | 多成分系溶剤の分離 | 混合溶剤から特定成分を回収 |
| 蒸気ストリッピング | 揮発性不純物の低減 | 臭気や低沸点成分の除去 |
2025年1月15日時点、Googleで「受託蒸留」と検索し、ヒットした64社の中から、受託蒸留を行っている会社のみ27社をピックアップしました。その中から、「接着剤メーカー」で用いられる減圧蒸留、分留(分別蒸留)、精密蒸留に対応している会社を掲載しています。
ネオケミカルは、高融点物や熱に弱い化合物、高純度が求められる素材を対象とした 蒸留精製を行っている受託加工企業です。
化粧品原料や樹脂原料など、分離が難しい化合物の蒸留に対応しており、 微細な温度や圧力管理が求められる精製を得意としています。 接着剤分野においても、樹脂成分や副生成物を含む溶剤の精製や、 組成を整えるための蒸留を外注したい企業にとって相談しやすい存在です。
| 会社名 | ネオケミカル株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府大阪市中央区平野町3-4-2 NCビル |
| 電話番号 | 06-6232-0341(代表) |
| 公式URL | https://www.neo-chem.com/ |
日本リファインは、使用済み溶剤のリサイクルやファインケミカル製品の精製、 バージン品・輸入品のグレードアップなどを幅広く受託している企業です。
50年以上にわたり蓄積された蒸留データベースと独自開発の解析ソフトを活用し、 多様な溶剤組み合わせに対する分離・精製条件の検討を行っています。 年間400〜500件におよぶ精製依頼に対応しており、接着剤用途においても 混合溶剤や不純物を含む溶剤の再生を検討したい企業に向いています。
共沸蒸留や抽出蒸留などの特殊な分離技術にも対応しており、 高い純度管理が求められる用途や、使用済み溶剤の再利用を重視するケースで 外注先として検討しやすい企業です。
| 会社名 | 日本リファイン株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 岐阜県安八郡輪之内町中郷新田2574-1(輪之内本社) |
| 電話番号 | 0584-69-3155(輪之内本社) |
| 公式URL | https://n-refine.co.jp/ |
日宝化学は、有機・無機ハロゲン化合物などを対象とした受託生産・精製を行っており、 創業以来培ってきた安全管理と設備運用のノウハウを強みとしています。
グラスライニングやステンレス製の減圧・常圧蒸留設備を備え、 熱影響を抑えた溶剤の精製や再生に対応しています。 接着剤分野においても、樹脂分や副生成物を含む溶剤の蒸留を外注したい企業にとって 検討しやすい体制が整っています。
ラボ試験からパイロット試作、量産まで段階的に対応できるため、 条件確認を行いながら蒸留精度を高めたい場合にも相談しやすい企業です。
| 会社名 | 日宝化学株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区日本橋本町4-8-15(ネオカワイビル) |
| 電話番号 | 03-3270-5341 |
| 公式URL | https://www.npckk.co.jp/ |
交洋ファインケミカルは、精密蒸留や薄膜蒸留を用いた多成分混合物の分離に強みを持つ企業です。 沸点差の小さい混合物でも高純度分離が可能な設備を有しています。
圧力損失を抑えた塔設計や局所加熱を低減する構造により、 熱に弱い樹脂原料や高融点物質の蒸留にも対応しています。 接着剤用途において、熱履歴を抑えながら溶剤の組成を整えたいケースで検討しやすい企業です。
蒸留と反応を同一設備で行う体制を持ち、工程短縮や品質安定を重視した精製を行っています。
| 会社名 | 交洋ファインケミカル株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市南区吉祥院石原上川原町37 |
| 電話番号 | 075-681-0526 |
| 公式URL | https://www.koyo-fc.co.jp/ |
新菱は、化学製品の高純度化と使用済み溶剤の回収・精製・リサイクルを通じて、 環境負荷低減と資源の有効活用に取り組んでいる企業です。
いわき工場には連続式および回分式の蒸留設備を備えており、 多成分混合溶剤の分離や大量処理にも対応できる体制を構築しています。 接着剤分野において、使用済み溶剤の再生やコスト削減を目的とした外注先として検討しやすい企業です。
炭化水素、アルコール、エステル類など幅広い化学品を取り扱っており、 少量試作から条件確認を行いたいケースにも柔軟に対応しています。
| 会社名 | 株式会社新菱 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県北九州市八幡西区黒崎3-9-22 RISO黒崎駅前ビル |
| 電話番号 | 093-643-2777(代表) |
| 公式URL | https://www.shinryo-gr.com/ |
接着剤メーカーが溶剤蒸留を内製するか、外注するかは、 設備投資や運用負荷、品質管理体制を踏まえて判断する必要があります。
受託蒸留を外注することで、専用設備への投資を抑えながら、 専門的な蒸留技術と品質管理体制を活用することが可能になります。 また、少量多品種への対応や条件調整の柔軟性を確保しやすい点もメリットです。
受託蒸留会社を選定する際には、 対応可能な溶剤の種類、精製精度、品質管理体制、納期対応など、 複数の観点から検討することが重要です。
接着剤分野では、製品ごとに求められる溶剤特性が異なるため、 自社製品の要件を理解したうえで条件調整が可能かどうかを事前に確認しておく必要があります。
接着剤メーカーにおいては、溶剤の品質管理が製品性能と生産安定性を大きく左右します。 受託蒸留サービスを活用することで、品質を維持しながらコスト削減や環境負荷低減を両立することが可能です。
自社の製品特性や製造条件を整理したうえで、適切な蒸留技術と体制を持つ受託蒸留会社を選定し、 外注を上手に活用していきましょう。
蒸留対象となる材料の性質や求める純度・精度によって、必要な蒸留技術は異なります。そのため、原料の特性に合った設備やノウハウを持つ会社を選ぶことが、製品の品質・精度・純度の向上につながります。
ここでは、蒸留の目的や素材に応じて選べる、おすすめの受託会社を3社ピックアップしました。
中国精油が得意な蒸留精製
新菱が得意な蒸留精製
八代が得意な蒸留精製